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2022.6.23
創刊150周年スポーツ報知アーカイブ コラム「海岸通り」(4)
2012年12月21日付 スポーツ報知・海岸通り
「成長を促す『先手必勝』の教え」
東日本のボーイズリーグで「中学生の最強チームは?」と聞けば、多くの連盟関係者が神奈川の湘南クラブボーイズと答える。すでに来春の全国大会出場を決め、今年8月のジャイアンツカップに続く日本一を狙う強豪だ。
22歳からチームを率いる田代栄次監督(35)の変わらないモットーは「先手必勝」。試合前のジャンケンに勝てば、必ず先攻を取る。打者には初球から打っていく姿勢を徹底させる。「全国レベルの好投手は、待っていても打てる球など来ない。初球から振っていく気持ちがないと、すぐに追い込まれてしまい自分のスイングができない」。7イニングの中学野球で何度も大会を勝ち抜いてきた指揮官ならではの言葉だ。
こんなことがあった。なかなかバットを振らない選手に「次の打席は必ず初球からいけ」と指示。しかし、その選手はきわどい球を見逃した。判定はボールだったが、すぐさま代打を送った。「今のお前に必要なのは選球眼じゃない。『絶対にヒットを打つ』という気迫だ」。厳しく叱られた選手は目に涙をためながら、試合が終わるまでベンチ裏でバットを振り続けていた。
田代監督は「何のために練習をしているのか」ということを日々、さまざまな言葉で選手に問いかけている。中学の3年間は大切な時期。スポーツだけでなく何事も「先手必勝」で成長を促すべきなのかもしれない。
【追記】今も田代監督が率いる湘南ボーイズは、コラムが掲載された後も躍進し続けました。ジャイアンツカップは2016年に2度目の制覇、夏の全国大会は21年に07年以来、2度目の優勝を果たしています。1990年創部の湘南ボーイズ(湘南クラブ)は、これまで全国大会に春夏30度出場して通算48勝。そのうち45勝は田代監督が率いて挙げた白星です。ちなみに03年夏から全国大会に出場している栃木県支部勢が、今年春までに積み重ねた白星は44。そのことからも一人の監督が全国大会で挙げた勝利数として、45は驚異的なものであることが分かります。(報知新聞社・芝野栄一)