News--------------東日本ブロック
2022.7.28
創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「こんな時こそルールを学ぼう」(3)
2020年5月27日付 ボーイズリーグ特集から
「インフィールドフライ理解深めて」
地上波のテレビ中継が減り、プロ野球を見ながら自然と覚える機会が少なくなったせいか、ルールに詳しくない野球少年が増えているようです。今回は審判が宣告した時点で打者がアウトになってしまうインフィールドフライを取り上げます。基本中の基本ですが知っている人も「今さら」などと思わず改めてしっかり理解をして、せっかくのチャンスを一気につぶしてしまうことがないようにしましょう。
【問題】小学生の試合で見かける走者のミスです。無死一、二塁。得点のチャンスでしたが、打者は二塁ベース付近へ高々と打ち上げてしまいました。審判はインフィールドフライを宣告し、走者は帰塁。ところが内野手がグラブではじいてしまい、ボールがグラウンドへ落ちました。それを見た二塁走者が慌てて三塁へ走り出し、すぐにボールを拾った内野手が追いかけてタッチ。これは二塁走者もアウトになるのでしょうか?
【回答】当然なります。最近はインフィールドフライについてよく分かっていない子どもが多い。この場合の二塁走者もそうだったのでしょう。インフィールドフライが宣告されれば打者はアウトになりますが、ボールデッド(タイムがかかった状態)にはならず、プレーは続きます。つまりインフィールドフライが宣告された時点で走者の進塁義務はなくなり、内野手がボールを落としたからといって、次の塁へ向かわなくてもいいのです。プレーが続いているので、走者が塁を離れてボールを持った野手にタッチをされればアウトになります。しかし、たとえば内野手が落としたボールが外野方向に転がるなどした場合に走者の好判断で次の塁を陥れれば、その進塁は認められます。また、インフィールドフライは無死または1死で走者一、二塁か満塁の場面で内野への飛球に宣告されますが、バントやライナーは除きます。覚えておいてください。
子どもたちがインフィールドフライを覚えられない理由は「守備側は一気に2つ以上のアウトを取る絶好のチャンス」で「攻撃側が守られる」というルールが理解しづらいからかもしれません。しかし、野球規則の原点は「スポーツマンシップにのっとった楽しい野球」を「より良いものにする」こと。そう考えると、走者が次の行動を取りにくい内野への飛球が、複数のアウトをもたらす結果を防ぐインフィールドフライというルールも納得しやすいのではないでしょうか。(東日本ブロック審判委員会監修)
【追記】新型コロナ感染拡大のためボーイズリーグが活動自粛を余儀なくされたため、この連載を始めましたが、その少し前に小学部の試合で実際に見たプレーです。それ以前も同じようなケースを小学部で見かけました。昭和の巨人V9(40年~48年に日本シリーズ9連覇)時代に小学生だった私の世代では「男の子なら野球のルールを知っていて当たり前」でしたが、今はまったく違います。少年野球の指導者は子どもたちに一からルールを教えるつもりでいないと、試合で痛い思いをするかもしれません。(報知新聞社・芝野栄一)