News--------------東日本ブロック
2022.7.14
創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「こんな時こそルールを学ぼう」(1)
2020年4月29日付ボーイズリーグ特集から 「難しい『フォースアウト』と『アピールアウト』」
少年野球の試合は珍プレーの宝庫。経験、知識の少ない選手が繰り出す“想定外”のプレーによって、審判が困惑する場面がたびたび発生する。実際にあったケースを問題にして、東日本ブロックの審判に正しいルールを尋ねた。
【問題】3年前のジャイアンツカップ栃木・茨城地区予選であったケースです。小山ボーイズ対竜ケ崎リトルシニア戦でのこと。同点の延長8回裏、小山の攻撃は1死一、三塁で一打サヨナラのチャンス。初球、一塁走者がスタートを切りましたが、打者がその球を右翼へ打ち上げました。三塁走者が外野手の捕球を確認したあとホームに向かい、本塁返球は間に合いませんでした。サヨナラ勝ちを確信した一塁走者は二塁ベースを回ったあたりから、そのまま整列へと向かいました。ところが捕手からボールを渡された一塁手が、一塁ベースを踏んで「一塁走者が帰塁していないので、ダブルプレーが成立して得点は無効」とアピール。はたして小山の得点は認められるのでしょうか?
【回答】認められます。野球のルールで走者の生還が認められないケースに第3アウトが「走者がフォースアウトされた時」とあります。フォースアウトとは、例えば一塁に走者がいて打者が内野にゴロを打った場合、進塁の義務が生じた一塁走者が二塁に到達する前にボールを持った野手にタッチされるか、その塁(この場合は二塁)に触れられた場合です。ゴロを捕った野手が一塁に送球して打者走者をアウトにしてもフォースアウトとなります。ほかにもフォースアウトにあたるケースがありますが、ここでは省略します。
この場合、フライで飛び出した一塁走者が帰塁できずに第3アウトとなります。しかし、それはフォースアウトでなく、いわゆる“アピールアウト”。アピールによる第3アウトの場合、走者がホームを踏むタイミングと第3アウトのどちらが早いかで得点の有無が決まるのです。たいへん難しいプレーになりますが、この場合で相手の得点を防ぐためには、フライを捕った右翼手が一塁に送球して三塁走者がホームを踏む前に“アピールアウト”を成立させる必要がありました。(東日本ブロック審判委員会監修)
【追記】新型コロナウイルスが大流行して政府が1回目の緊急事態宣言を発出したことでボーイズリーグも活動中止となり、急きょ企画した連載です。主に神奈川県支部の審判部に協力していただきました。新聞の限られたスペース(行数)で説明することは難しかったので、ここでは一部加筆、修正をしています。公認野球規則は毎年改正されます。2年前の記事でお気づきのことがありましたら、ご指摘ください。(報知新聞社・芝野栄一)