公益財団法人 日本少年野球連盟 東日本ブロック

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2022.6.16

創刊150周年スポーツ報知アーカイブ コラム「海岸通り」(3)

2013年4月3日付 スポーツ報知・海岸通り

 

「東大野球部でも頑張れ」

 

先月、ボーイズリーグの取材中に携帯電話が鳴った。「臼井貴登です。覚えていますか?」。1浪中の大学受験生からだ。上ずった声から、吉報だとすぐに分かった。「東大、合格しました。文科3類です」

左腕投手の臼井君とは8年前、小学5年の時に初めて言葉を交わした。その後千葉中央ボーイズに所属した中学3年の夏、学業と野球を両立させていたことが評価され、全国地域別選抜チーム対抗戦「鶴岡一人記念大会」の関東代表に選ばれて優勝。それ以来、交流が続いている。

彼は鶴岡大会で大きな衝撃を受けた。関東選抜のメンバーは、一昨年の中日ドラフト1位・高橋周平(湘南—東海大甲府高)、同年夏の甲子園優勝校の主将で現法大の畔上翔(東京ベイ—日大三高)らがいた。一緒にプレーをして「とてもかなわない」と思った半面、勝つ喜びを知って野球が今まで以上に好きになった。進学した県立千葉高校でも野球部に入部。そこで「早大や慶大では通用しない自分が、大学で本気の野球を続けるには東大しかない」と受験を決意した。だが、現役合格には失敗。予備校に通う日々を支えたのは東大硬式野球部のHPと「臼井受験ガンバレ!」と書かれた高橋周平のサイン色紙だったという。

「もう(東大の)練習に参加しています。神宮で畔上君と対戦できたら最高ですね」と臼井君。あらためて野球の魅力の大きさを感じさせられた春の出来事だった。

 

【追記】臼井君は現在、トヨタ自動車の広報部で将来を嘱望される若手社員として活躍しています。臼井君が選ばれ、鶴岡一人記念大会で優勝した2008年の関東南選抜を私は今でも歴代最強だと思っています。高橋周平をはじめ楽天・横尾俊建(相模−日大三高−慶大−日本ハム)、横尾とともに日大三高で夏の甲子園優勝の畔上翔(ホンダ鈴鹿)と谷口雄大(座間—日大三高—日体大)、29歳の今も投げ続ける左腕・三宮舜(湘南—慶応高—慶大—明治安田生命)、巨人・大森剛スカウトのご子息・大森雄貴(麻生—明大中野八王子高—桜美林大)、プロコンディショニングコーチ・立花龍司氏の長男・立花玲央(習志野—千葉英和高—早大)らがいました。周平君が1位指名されたことを祝うために彼らが高校3年の2012年1月、一部のメンバーが再び集まって東京ドームのすぐそばの後楽園飯店で「同窓会」を催したことを覚えています。臼井君が励みにしたサイン色紙は、その時に周平君が受験勉強で来られなかった臼井君のために書いて贈ったものです。(報知新聞社・芝野栄一)