公益財団法人 日本少年野球連盟 東日本ブロック

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2022.12.29

創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「ボーイズリーグ むかし いま そしてこれから…」(5)

2022年2月9日付  「リーグ戦導入の意義と課題」
 中学生の硬式チームは年々数こそ増えているものの、在籍選手数は10年間ほぼ横ばい。その間、中学校の軟式野球部は部員が4割以上減っている。ボーイズリーグの東日本ブロックでも「中学生の部で部員がいる今のうちに改革を」と選手ファーストの視点で今後のあり方を模索している。歴史を振り返りながら、未来を関係者とともに考える。連載第5回は「リーグ戦導入の意義と課題」。
 昨年11月、試験的な大会が開催された。関東各地から中学生12チームが参加した「チャレンジリーグ2021」。初日は3チームずつ4組に分かれてのリーグ戦、2日目は勝ち上がり4チームで決勝トーナメントを行った。「この方法なら出場チームは最低2試合できるので、多くの選手が出場機会を得られる」と話すのは、リーグ戦を推奨する東日本ブロックの飯田研二理事(66)。同ブロックでは設立以来、高校野球に準じたトーナメント一辺倒の大会形式を改めようとしている。
 中学生の部でリーグ戦導入を望む声は多くある。マネジャーとして25年、横浜ボーイズを支える三好征志氏(47)は「(大多数の)専用グラウンドを持たないチームは新入部員の数に波があり、選手が集まらず勝てないときは公式戦ですべて1回戦負けの年もある。トーナメントは勝たないと次がないので、部員が少なくてもスタメンは成長の早い選手中心でいつもほぼ同じ。リーグ戦なら監督の選手起用にも余裕ができ、選手一人ひとりが一試合、ワンプレーでも多く経験できる環境が整うのでは」と提言する。
 連盟が改革を唱える背景には少年野球人口の減少がある。一般財団法人全日本野球協会の調べをまとめると、中学校の軟式野球部員が2011年の28万人から20年には15万8000人と4割以上減っている。その受け皿と思われていたボーイズなど中学硬式5団体所属チームの総部員数も11年から1000人減って、20年は5万1000人。子どもが野球から離れていく原因の一つとして飯田理事は「成長の個人差が大きい時期の子どもを集めてトーナメントで優勝するには、体が大きい早熟選手を優遇しなければならないが、そうでない子どもがほとんど。そういう傾向から敬遠されているのでは」と指摘した。
 しかし、ボーイズリーグの公式大会はごく一部を除いてすべてトーナメント。岡陽一東日本ブロック長(60)は「リーグ戦には賛成ですが、チーム数の多い支部もあり試合数が増えて開催期間が長くなると、ほかの大会との日程調整が難しくなる」と課題の多さに悩んでいる。
 一方で同ブロックの本田光昭企画運営部長(57)は「リーグ戦とトーナメントを組み合わせたチャレンジリーグを参考にして広げていきたい。昨年より大会日程を少し長くすれば、参加チームも増やせる。まずは支部を問わず賛同するチームを募り、できる範囲で進めていきたい」と前向きな姿勢を示した。歴史ある従来の大会を継続しながらリーグ戦を導入するには、柔軟な考えと各都県支部の協力が不可欠なようだ。(報知新聞東京本社ボーイズリーグ担当・芝野栄一)