公益財団法人 日本少年野球連盟 東日本ブロック

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2022.8.11

創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「こんな時こそしっかりルールを学ぼう」(5)

2021年1月20日付ボーイズリーグ特集から 「同じ塁に2人の走者が…」

実際にあったプレーを問題にして、東日本ブロックの審判が答えるルール入門。今回は挟殺プレーがきっかけで同じ塁に2人の走者が同時に立ってしまった場面。攻撃側がミスを犯してしまいがちな場面だ。今一度ルールを確認しよう。

【問題】無死二、三塁のチャンスで初球にスクイズのサイン。しかし打者が空振りしてしまい、スタートを切っていた三塁走者が三本間に挟まれました。何とかタッチを逃れて帰塁したものの、すでに三塁ベースには挟殺プレーの間に走り込んだ二塁走者が立っていました。三塁手は同時に三塁ベースに触れている2人の走者にそれぞれタッチ。すると塁には二塁走者が残り、三塁走者がベースを離れてベンチに戻ろうとしました。三塁手はその走者にもう一度タッチ。さあ、どうなるでしょうか?

【回答】2人の走者はともにアウトになります。アウトではない三塁走者の離塁を止められなかったベースコーチを含めて攻撃側の不勉強による“もったいないプレー”です。公認野球規則では5・00「試合の進行」の「走者」の項に「塁の占有」について「2人の走者が同一の塁に触れているときは、その塁を占有する権利は前位の走者に与えられているから、後位の走者はその塁に触れていても触球(タッチ)されればアウトになる」とあります。この場合は二、三塁の走者が同時に三塁ベースに触れていました。三塁手は「両者にそれぞれタッチ」したので、その時点で占有権のない後位の二塁走者がアウトになります。その後に三塁走者もベースを離れてタッチされたとあれば、もちろんアウトになります。

挟殺プレーの末に三塁ベースに2走者が同時に触塁するシーンは高校野球などでもよく見られます。ルールをよく知らない選手が多い少年野球では、攻撃側も守備側もどちらの走者に占有権があるか分かっていない、または慌ててしまい忘れるケースが多い。ルールを知っていても知らなくても、この場合では野手は、並んで立っている2走者にそれぞれ続けてタッチします。それに惑わされ、アウトでない前位(三塁)の走者がうっかりベースを離れてしまうことが多いようです。野球規則を知らないことで招く“もったいないプレー”の代表的なもの。指導者は子どもたちにルールをしっかり教えておくべきです。

(東日本ブロック審判委員会)

【追記】基本中の基本といっていいルールですが、ボーイズリーグを取材していると毎年見かける残念なシーンです。試合に出て夢中にプレーをしている選手がめったにない事態に出くわした場合、うっかりルールを失念することもあると思います。同じ塁に2人の走者が立つケースはほとんどが三塁なので、冷静に対処できる三塁ベースコーチがしっかりルールを学んでいれば“もったいないプレー”は防げるはずです。(報知新聞社・芝野栄一)