公益財団法人 日本少年野球連盟 東日本ブロック

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2022.12.27

創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「ボーイズリーグ むかし いま そしてこれから…」(3)

2022年1月26日付 「原点にかえる小学生の部」
 本部を置く関西に比べて加盟チーム数が伸び悩んでいた東日本では、1998年に初開催された関東ボーイズリーグ大会の成功をきっかけに中学生の部でチームが増加した。一方、小学生の部は長期にわたってチーム数は横ばい、部員数は減少傾向が続いている。東日本のボーイズリーグの歴史を振り返りながら、その未来を考える。連載第3回は「原点にかえる小学生の部」。
 連盟設立からの10年を振り返った記念誌がある。それによると、1970年に大阪、兵庫、愛知の小学生19、中学生9チームでスタートしたボーイズリーグは、79年初頭には北日本と沖縄を除く全国に広がり、加盟チームは小中合わせて293を数えた。そのうち半数を超える165が小学生の部だった。その79年には第10回夏季全国大会が小学生25、中学生23チームを集めて行われた。ところが昨夏の第52回大会出場チーム数は、中学生48に対して小学生16。全国の加盟チームも現在は、総数725のうち小学生の部は103と減少傾向が明らかだ。
 中学生の部で増えている理由は「学校の野球部の衰退」「硬式は中学からという風潮の定着」などと言われている。しかし、チームは増えているものの、部員数はこの15年間ほぼ横ばい。硬式、軟式を問わず日本の少年野球人口は減っている。
 競技への入り口ともいえる“学童”と呼ばれる小学生の軟式野球でそれを裏付けるデータがある。一般財団法人全日本野球協会の調べでは「学童野球は2007年に約30万人いた子どもが20年には約18万7000人にまで、約4割減っている」。その傾向は硬式のボーイズリーグ小学生の部でも変わらず、多くの関係者が「問題は減少数が少子化のペースを上回っていること」と指摘する。
 「お金がかかる」「お茶当番など親の負担が大きい」など様々な理由が挙げられているが、東日本ブロックの飯田研二理事(66)は「一番の弊害は行き過ぎた勝利至上主義」と強調した。「競技なので勝つために練習するのは当然ですが、指導者が執着しすぎると感情的になって、うまくできない子どもを“叱る”のでなく怒ってしまう。それが最近の子を持つ親には受け入れられない荒っぽい言動につながり、少年野球の悪いイメージにつながっている」と言い切る。
 遅まきながら連盟は昨年9月、将来を見据えた「未来へ活性化プロジェクト」を始動した。中心メンバーの飯田理事は「いまさらと言われそうですが、改めて子どもと親に“野球ならではの魅力”をアピールすることに力を入れたい。例えば『攻撃と守りの機会が均等であること』『体の大きさ、体形に関係なく試合出場の機会が得られる』などです」。さらに指導者には「勝利至上主義から脱却し、育成主義への方向転換を勧めます。また、見ている人の共感を呼ぶスポーツマンシップの理解、再確認もお願いしたい」とした。
 連盟の動きより早く2年前、部員集めに苦しんでいた東日本のリーグ最古参・荒川ボーイズ小学部(旧荒川ジュニアシャークス)は創部50年式典で「勝つことでなく、子どもたちが野球を好きになることを目的にするチーム改革に取り組む」と育成主義への転換を宣言した。そのきっかけは、あのメジャーリーガーを育てたチームの存在だった。(報知新聞東京本社ボーイズリーグ担当・芝野栄一)