公益財団法人 日本少年野球連盟 東日本ブロック

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2022.12.27

創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「ボーイズリーグ むかし いま そしてこれから…」(4)

2022年2月2日付 「学ぶ姿勢で促す活性化」
 硬式、軟式を問わず日本の少年野球人口は、少子化を上回る減少ペースが続いている。硬式のボーイズリーグでは特に小学生の部が深刻。そこで連盟は、勝ち負けより子どもの自主性やチャレンジ精神を重視する育成主義を推奨し、活性化につなげようとしている。東日本のボーイズリーグの歴史を振り返りながら、その未来を関係者とともに考える。連載第4回は「学ぶ姿勢で促す活性化」。
 1月下旬、都内のある会議室のモニターに小学生チームの指導者の顔が並んだ。昨年12月に続く2回目の「東日本ブロック小学部勉強会」がオンラインで開催された。テーマは「選手の集まるチーム運営について」。特別講師はパイレーツ・筒香嘉智外野手が中学時代に所属した堺中央(堺ビッグ)ボーイズ小・中学部代表の瀬野竜之介氏(51)。招いたのは創部53年目の東日本最古参・荒川ボーイズ小学部の若野雅史代表(57)だった。
 2人の縁は2019年の夏まで遡る。長期にわたる部員減少でチーム存続の危機を感じていた若野代表は、15年に新設してから人気を集めていた堺中央ボーイズ小学部の話を聞き、練習を見学した。そこで堺中央が取り組む「子どもに伸び伸びと野球に打ち込める環境をつくり、自主性や挑戦する気持ちを育む」というドミニカ流指導法に共感して荒川にも導入。そこから交流がスタートした。
 中学部の監督として99、2000年春の全国大会を連覇した経験もある瀬野氏は「勝つことが選手のためと思っていた時期もある」と明かした上で、「全国制覇をしたのに部員が入ってこない」と嘆く別の小学生チームの例を紹介。「選手を集めるためには勝利至上主義でなく育成に主眼を置くチーム改革が不可欠」と訴えた。さらに「監督やコーチの高圧的な姿勢など、チーム内で『これはないよな』と思うことをなくしていくべき。また、近隣の野球チームでなく、サッカークラブなど他のスポーツ教室の“企業努力”を学んだほうがいい」と瀬野氏が話すと、参加者はうなずくばかりだった。
 一方、同じ育成主義でも別のやり方で多くの部員を集めているチームもある。昨夏全国大会優勝の東京世田谷ボーイズは「プロ入り」「甲子園出場」などの夢を本気で目指す親子が集まる、いわばアスリート養成クラブ。堀秀人代表(53)は「小学生のうちから体力、技術の向上はもちろん、団体スポーツで必要な“自己犠牲”まで教えます。人としても早く成長して中学、高校の指導者から認めてもらえれば、夢をかなえる一歩になる」と力説した。
 強豪との対戦を求めて中部地方まで遠征することもあり、保護者に掛かる負担は少なくない。それでも堀代表は「子どものために親が自分の時間を割くことも必要だと考えている人たちが集まっています」と説明し、「選手には周りの人に感謝しながら一生懸命やることが大切で、試合に勝つことは、その結果だと教えている」と勝利至上主義とも一線を引く。
 東日本ブロック小学部委員長も兼務する若野代表は「やり方はいろいろあるが、指導者が学んで進化していかないと、今までと同じで部員は減っていくだけ。それぞれのチームに早く気付いてほしい。その上で独自色を出して互いに切磋琢磨できればいい」とした。それは、今はかろうじて部員数が横ばいの中学生の部も同じだろう。(報知新聞東京本社ボーイズリーグ担当・芝野栄一)