公益財団法人 日本少年野球連盟 東日本ブロック

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2022.7.21

創刊150周年スポーツ報知アーカイブ 「こんな時こそルールを学ぼう」(2)

2020年5月13日付 ボーイズリーグ特集から「重要なベースを踏むタイミング」

実際にあったケースを問題にして、東日本ブロックの審判に正しいルールを聞く連載企画。第2回はある送りバントでのシーン。守備側はベースを踏むタイミングを間違えると、アウトを一つ損します。

【問題】昨年、プロ野球であったシーンです。無死一塁。バントで転がしたボールは、ホームベースのすぐ前(フェアゾーン)で止まってしまいました。捕手がボールを拾い上げた時は、打者はまだ一塁へ走り始めたばかり。守備側は併殺に仕留める絶好のチャンスです。その時、捕手が一塁へ目をやると、一塁走者は帰塁してベースを踏んだ状態で立っていました。捕手は一塁手へ送球。この時、併殺を完成させるために一塁手が注意しなければならないことがあります。何でしょうか?

【回答】ベースに触れていない状態で送球を受け、一塁走者にタッチをしてからベースに触れることです。打者が打撃(バントも含む)を完了すると「打者走者」になり、進塁する(一塁へ向かう)義務が生じます。そうなると、一塁走者も押し出されるかたちで二塁へ進まなくてはなりません。分かりやすくベースを「走者の安全地帯」とすれば、この場面での一塁走者の安全地帯は(一塁ベースでなく)二塁ベース。そのため一塁走者が一塁ベースを踏んでいても、送球を受けた一塁手にタッチされればアウトになります。そのあとで一塁ベースを踏めば、打者走者もアウトにでき、併殺となります。

ところが、走者が立っている一塁ベースに触れた状態で一塁手が送球を受けてしまうとどうなるでしょう? 先に打者走者がアウトとなり、その瞬間、一塁ベースは「一塁走者の安全地帯」に戻ってしまうのです。つまり、あとからタッチをしても一塁走者はセーフになり、守備側は併殺を逃す結果になります。このルールは公認野球規則で「塁の占有」の項を読めば、よく分かります。小中学生には判断が難しいケースかもしれませんが、今後の野球であり得るケースだけに、覚えておきましょう。(東日本ブロック審判委員会監修)

【追記】このプレーの動画はフェイスブックに投稿されていました。一塁走者はあまりにもまずいバントだったので、仕方なく相手のミスに期待をして一塁ベースに戻ったのでしょうが、そうはいきませんでした。ボーイズリーグでは見たことがないシーンですが、走者が経験の少ない小中学生ならこういう機転は難しいでしょう。(報知新聞社・芝野栄一)